静脈認証
静脈認証とは
静脈認証とは、センサーにかざした指や手のひらに赤外線を照射し、静脈の形状をパターン化して読み取って照合する認証方式です。静脈認証は、センサー部分に手を触れない非接触方式が一般的で、衛生的に認証を行えるのが特徴です。また、身体内部にある静脈の形状は指紋に比べて偽造・改ざんが困難なため、高度なセキュリティを担保できる認証方法です。
静脈認証の種類には、指静脈認証と手のひら静脈認証の2種類があります。
指静脈認証は、指の第二関節部分をセンサーにかざして近赤外線で指の静脈パターンを読み取る方式です。肌の状態や怪我などに関わらず読み取れる点が、指紋認証とは異なります。
手のひら静脈認証は、手のひらを広げた状態でセンサーにかざして静脈パターンを読み取ります。手のひらを広げた状態で認証を行うため、子供・お年寄り・体の不自由な方などでも利用しやすいのがメリットです。
同じように手をセンサーにかざす生体認証である指紋認証との違いは次の通りです。
静脈認証 | 指紋認証 | |
---|---|---|
読み取り方式 | ・近赤外線透過光方式 | ・静電容量方式 ・光学方式 ・超音波方式 |
読取部の接触 | ・非接触 | ・指を押し付けて接触させる ・指を接触させながらスライド |
セキュリティ | ・体内の静脈を利用するため外部に残留しない ・他者が入手できないため複製が困難 | ・触れた場所に指紋形状が残留する ・指紋の形状を複製可能 |
静脈認証の導入例
静脈認証は、さまざまな場所やシーンで活用されています。
自治体
個人情報を扱うため強固なセキュリティが求められる自治体には、静脈認証が適しています。税・社会保障などのマイナンバーを利用する事務で使用する端末は、マルチ認証が必須です。ID・パスワードに加え、本人しか持ち得ない生体情報を読み取る静脈認証を組み合わせることでセキュリティが高まります。偽装が極めて困難で、指をかざすだけの簡単な操作で本人確認ができることから多くの自治体で導入されています。
団体・組合の業務用パソコン
業務用パソコンを職員が利用する際は、コンピューターやアプリケーションに接続する際にID・パスワードの入力が必要です。パスワードは紛失や流出のリスクがあり、定期的な変更が必要です。また、複数回誤入力するとロックがかかってしまう点も問題視されていました。パスワードの変更などが不要な静脈認証を導入すれば、セキュリティを高めつつ職員の負担を減らせます。
鍵管理システム
オフィスのさまざまな鍵の取出及び返却時の本人認証に、静脈認証は有効です。静脈認証によって、取出者と返却者が同一かをチェックできます。また、重要な鍵は二人認証による取出設定も可能です。
補足
静脈認証は、近赤外線を透過させて血流パターンを読み取ります。血液中の酸素と結合していないヘモグロビンを、還元ヘモグロビンと呼びます。この還元ヘモグロビンには、ある波長の近赤外線を当てると光を吸収する性質があるため、光の散乱や反射が起きずに黒く映る仕組みです。
導入にあたっての注意点は、現状では機器の小型化が難しく、指紋認証などと比べて比較的コストが大きい点です。人によっては特定の指で静脈のパターンが少なく、認証しづらいケースもあります。その場合は、ほかの指を使って登録・認証しましょう。
生体認証に関連する用語一覧
セキュリティ
生体認証
指紋認証
顔認証
静脈認証
虹彩認証
声紋認証
耳介認証
DNA認証
行動認証
マルチ認証