【事例紹介】顔認証を導入した医療機関の変化とは?メリットを再確認
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顔認証システム
- 2023.07.18
CONTENTS この記事でわかること
顔認証付きカードリーダーの導入やオンライン資格確認など、医療機関で顔認証が活用されるシーンが増えてきました。今後医療機関を利用するうえで、実際に使用する機会も増えるでしょう。しかし、実際にどのような形で活用されているかイメージするのが難しい方もいるかもしれません。
本記事では、医療機関に導入されている顔認証システムについて解説します。導入のメリットや事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
顔認証システムは医療機関必須の機器
オンライン資格確認が原則義務化されたため、医療機関において顔認証システムは必須の機器になりました。医療機関や薬局では、顔認証付きカードリーダーが利用されています。医療関係者だけでなく、我々利用者にとっても今後接する機会が増えるでしょう。
ここでは、オンライン資格確認とはどのようなものなのか、システムの導入状況などと併せて解説します。
オンライン資格確認の原則義務化
医療関係者以外の方には“資格確認”にあまりなじみがないでしょう。資格確認とは、医療機関や薬局で、患者が加入している医療保険を確認する作業を指します。従来は、スタッフが医療機関システムに必要な情報を手作業で入力し、確認を行っていました。
しかし、手間がかかる、患者を待たせるといったデメリットがありました。こうした現場の不都合を解消するために始まったのが“オンライン資格確認”です。
2021年10月に運用が始まり、2023年4月からオンライン資格確認導入が原則義務化されました。また、電子カルテや電子処方箋が活用される場面も増え、医療機関において顔認証の重要性は今後も増していくと予想されます。
システムの導入状況
医療機関ごとの、2023年6月25日時点のオンライン資格確認システム導入状況は以下の通りです。
顔認証付きカードリーダー申込数 | 病院:98.7% 薬局:95.6% 医科診療所:91.5% 歯科診療所:88.7% |
準備完了施設数 | 病院:92.8% 薬局:93.6% 医科診療所:80.2% 歯科診療所:77.2% |
運用開始施設数 | 病院:88.2% 薬局:91.5% 医科診療所:73.0% 歯科診療所:70.5% |
参照:厚生労働省『オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)』
契約締結をしていても、必要なシステム整備が終わっていない、オンライン資格確認に必要なネットワークが整備されていない、といった理由で導入が済んでいない施設もあります。しかし、厚生労働省によれば、今後導入数は増加すると見込まれています。
導入によるメリット
医療機関に顔認証システムを導入すると、以下のようなメリットがあります。
- スタッフの負担を軽減できる
- 利用者の利便性が向上する
顔認証システムの導入は、受付業務や資格誤認によるレセプト返戻作業などの負担軽減に繋がります。手作業での入力が減るため、ヒューマンエラーの減少に効果的です。
また、利用者の情報をオンラインで確認できるようになると、薬剤情報や特定健診情報の確認も可能です。災害時に薬を持ち出せなかった方に対しても、薬剤情報を確認したうえで、必要な薬を提供できるようになります。
さらに、オンライン資格確認以外にも、電子カルテとの連携や高セキュリティルームへの入退室管理などにも顔認証システムが活用されています。
導入によるデメリット
顔認証システムの導入には、以下のようなデメリットも存在します。
- 利用者へのサポートが必要になる
- 費用負担が必要になる
顔認証システムやカードリーダーなど、機器に不慣れな利用者が多いとスタッフのサポート業務が増えます。マイナンバーカードを保険証として利用する方が増えれば、そのサポートも必要になるでしょう。
また、オンライン資格確認には、通信料やセキュリティ費用などのランニングコストがかかります。さらに、オンライン資格確認を行う端末は、厚生労働省の提示する要件を満たさなければなりません。
元々の設備によっては、要件を満たしていないため新たな設備が必要になるケースもあるでしょう。結果として、導入費用が高額になる可能性があるため注意が必要です。
顔認証を導入した医療機関の事例
ここでは、すでに顔認証システムを導入した医療機関の実例を紹介します。導入を決めたきっかけや、メリットだと感じている点は各施設によって異なります。ぜひ、現場の声を導入検討の材料にしてください。
病院|電子カルテとの連携
2022年4月に、オンライン資格確認の運用を開始した例です。電子カルテのベンダーから紹介を受け、オンライン資格確認について知ったのが導入のきっかけでした。医療機関におけるデジタル化は今後ますます進むと考え、2021年から準備を始めています。
実際に導入したあとは、薬剤情報や診療情報を閲覧できる点を便利だと感じているようです。診察前にこれまでの処方を確認できれば、重複処方を避けたり、副作用の確認ができたりします。また、毎年の健診データを確認できれば、数値の変化がわかるため問診のきっかけにもなります。
オンライン資格確認を導入したあとは、新たな機能に慣れる必要はあったものの、現時点ではスムーズに対応できているようです。
参照:医療機関等向けポータルサイト『他医療機関での薬剤/診療情報を閲覧し、患者に寄り添ったより良い医療へ。診察や処方の際での積極的な情報活用が、患者の利益につながる』
医科診療所|患者の安全性向上
もともと電子カルテを導入しており、システム更新をきっかけにオンライン資格確認の導入を検討した例です。
毎年インフルエンザのシーズンは患者数が増え、事務作業が激増していました。スタッフの負担をなんとか軽減できないかと考えたのも、導入のきっかけになったようです。
また、高齢の患者に対する「多剤服用による薬物有害事象(ポリファーマシー)」の弊害を防ぎたいと考えたのも大きな理由です。おくすり手帳の利用や薬歴の管理で防げますが、自分自身でしっかり管理できている方が少ないのが現状でした。
オンライン資格確認を導入すれば、薬剤情報を閲覧できるため薬物有害事象を防げます。さらに、インフルエンザシーズンなどで患者数が増加する時期の負担も大幅に軽減されました。
参照:医療機関等向けポータルサイト『電子カルテシステムとオンライン資格確認の連携で患者さんにより良い医療を。友だちの家に遊びに行くように、地域住民が何でも相談できるクリニック』
歯科診療所|ミスの減少
診察券アプリや電子カルテなどでデジタル化を進めてきた現状をもとに、さらなる業務効率化のために導入を決めた例です。
もともとデジタル化を進めていたため、利用者から「新しいことに前向きに取り組んでいる」と良いイメージをもってもらえているそうです。古い保険証を持ってきてしまうケースがあっても、オンライン資格確認なら資格喪失がすぐわかるため、業務の効率化につながります。
入力ミスも減り、ミスがないか確認する時間も大きく短縮できています。レセプト返戻も、導入前に比べて1〜2割減りました。
オンライン資格確認を含め、デジタル化のメリットは誰がやってもミスなく同じクオリティで仕事ができる点です。新しいシステムを導入するときは大変でも、長い目で見れば効率が上がり、費用対効果が高くなると感じているようです。
参照:医療機関等向けポータルサイト『システム業者と積極的にコミュニケーションを行い、スムーズな導入を実現。デジタル化の推進が患者からのイメージアップにつながる』
薬局|健康のためのアドバイス
オンライン資格確認の情報収集を早くから始め、いずれ導入するなら早いうちにと考え、導入を決めた例です。電子薬歴システムも同じタイミングで導入しました。
特に問題なくシステムを導入でき、その後も目立ったトラブルは起きていないようです。導入後は、主に新規利用者の保健資格情報の照合に利用しています。オンライン資格確認のおかげで、医療機関が発行した処方箋にミスがあると分かったケースもあるようです。
薬剤情報を確認すると、処方されている薬、過去に飲んでいた薬が分かります。利用者の健康のために、情報を参考にしたアドバイスも可能になりました。
参照:医療機関等向けポータルサイト『地域に浸透した歴史ある薬局。今後のICT活用の進展を見据えて、早期にオンライン資格確認を導入』
顔認証を活用している介護施設
顔認証システムは、医療機関だけではなく介護施設でも活用されています。医療機関同様のメリットがあるだけでなく、介護施設だからこそのメリットや活用方法もあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
システム導入するメリット
介護施設で顔認証システムを導入すると、以下のようなメリットがあります。
- 利用者のストレスを軽減できる
- 人的コストを改善できる
- 人的ミスを減らせる
- カードキーなどの持ち物がいらなくなる
これまではスタッフが利用者を監視していましたが、利用者には常に人に見られているといったストレスがかかっていました。そもそも、介護業界は慢性的な人手不足です。監視のために人を雇うのは難しく、従業員にとっても精神的・肉体的な負担がかかっている状態でした。
そこで、顔認証システムを利用して見守る体勢をとれば利用者のストレスや従業員の負担を軽減でき、負担を減らせれば、従業員のミス減少が期待できます。また、カードキーなどの持ち物が不要となるため、カードキーの紛失や盗難などによるトラブルを防げるでしょう。
導入事例①従業員の負担軽減
顔認証システムの導入により、従業員の負担軽減や施設の安全性向上が見込めます。ひとりで外出する可能性のある利用者を顔認証システムに登録することで、外出しようとする利用者を検知できます。よって、常に従業員が監視する必要がなくなり、従業員の負担を大きく軽減できるのです。
顔認証システムの導入で、利用者を常に監視するという従業員のストレスや負担を軽減できるほか、その時間を別の作業に充てられるため、より効率的に業務ができるようになるでしょう。
導入事例②離設事故防止
介護施設にとって、利用者が施設からいなくなってしまう“離設事故”は大きな課題です。外出先でトラブルに巻き込まれたり事故に遭ってしまったりと、深刻化しています。
事前に利用者の情報を登録しておき、利用者が外出した際に関係者へ通知が行くシステムもあります。従来の監視カメラは人の目で確認する必要がありますが、顔認証システムなら人手を増やすことなく利用者の安全確保が可能です。
導入事例③施設の安全性向上
顔認証システムの導入で、施設全体の安全性向上も見込めます。従業員など、事前に登録した人だけが出入りできるようにし、不審者の侵入リスクを軽減できます。また、ICカードが不要となり、カードの紛失や使いまわしリスクも軽減できるため、より安全な施設運営が可能となるでしょう。
さらに、両手がふさがっていても顔だけで認証し解錠できるため、車椅子を押しながらでもスムーズな出入りが可能です。よって、安全性とともに利便性も高められるといえます。
顔認証は今後も医療機関で増えていく
オンライン資格確認の義務化をはじめ、電子カルテや電子処方箋の普及など、医療現場のデジタル化は今後も進んでいく見込みです。情報の照会だけでなく、セキュリティ性や作業効率を向上させる目的でも顔認証の導入が進んでいます。
電子カルテと顔認証を連携させれば、ヒューマンエラー防止にもつながります。また顔認証は端末に触れる必要がないため、感染症予防にも効果的です。顔認証が活躍するシーンは、今後ますます増えていくでしょう。
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Q&A
Q.顔認証は医療機関でどのように利用されていますか?
A.病院や薬局で、顔認証付きカードリーダーが導入されています。資格確認をオンラインで行えるようになり、業務の効率化につながっています。
Q,医療機関で顔認証システムを導入するメリットは何ですか?
A,主にスタッフの負担軽減、利用者の利便性向上が挙げられます。ヒューマンエラーを減らす効果も期待されています。