顔認証付きカードリーダーを導入するメリット|病院以外の活用例も紹介
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ICカード認証
- 2025.01.31
CONTENTS この記事でわかること
オンライン資格認証を行うための「顔認証付きカードリーダー」は、医療機関や薬局の窓口に設置されており、実際に使用する機会も多くなってきました。
令和5年4月から、オンライン資格認証導入が原則として義務付けされ、病院・医療診療所・歯科診療所・薬局などでの導入が進んでいます。
2024年12月時点で顔認証付きカードリーダーの普及率は全国で92.5%と高水準ですが、まだ導入検討中だったり、「より良い顔認証付きカードリーダーはないか」と頭を悩ませていたりする方も少なくありません。
本記事では、オンライン資格認証で利用する顔認証付きカードリーダーのほか、医療機関以外での活用についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
顔認証付きカードリーダーとは
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顔認証付きカードリーダーとは、カードに保存された顔写真データと、窓口で撮影された本人の顔写真を照合し、本人確認を行う機器です。身近なものでは、マイナンバーカードを用いた顔認証付きカードリーダーがあり、保険証利用としてマイナンバーカードを利用する事例も増加傾向にあります。
出典元:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」
顔認証付きカードリーダーの使用シーン
従来のカードリーダーに顔認証技術を組み合わせた「顔写真付きカードリーダー」には、大きく分けて以下2つの利用シーンが存在します。
- 医療機関などオンライン資格認証で導入される顔認証付きカードリーダー
- 医療機関以外で導入される顔認証付きカードリーダー
医療機関などオンライン資格認証で導入される顔認証付きカードリーダー
オンライン資格認証で導入される顔認証付きカードリーダーとは、タッチパネルで操作可能な液晶ディスプレイを備えた非接触ICカードリーダーで、マイナンバーカードと受診者の顔を撮影するカメラを内蔵しています。
医療機関や薬局の窓口で顔認証付きリーダーを利用する際には、マイナンバーカードをリーダー本体にセットし、液晶画面の操作に従い顔認証を行います。顔認証はカードに印刷された顔写真とカメラで撮影した受診者の顔画像で照合します。
認証されると医療機関の受付業務の他、オンラインでホストから受診者の薬剤情報や特定検診情報の閲覧が可能となります。
医療機関以外で導入される顔認証付きカードリーダー
医療機関以外の利用としては、高いセキュリティを必要としている建物や部屋に入退室管理システムのリーダーとして活用されています。顔認証とICカード認証の二重認証を行うことにより、より高いセキュリティシステムを構築できます。
また、顔認証またはICカード認証のどちらか一方で認証が済めば入室できる運用も一般的です。
カードリーダーの仕組み
一言で顔認証付きカードリーダーといっても、「カードを読み込む仕組み」はさまざまです。カードリーダーの仕組みに用いられる技術には、大きく分けて以下3つの種類があります。
磁気カードリーダー
カードの磁気ストライプに書き込まれたデータを、カードリーダーにスライドさせて読み込む方式です。
磁気カードは書き込まれたデータが簡単に読み取れるため、現在では防犯性の観点から利用率が低く、その代わりに安全性の高いICカードが広く普及しています。
接触型ICカードリーダー
カードに搭載されたICの端子に、カードリーダーを直接接触して通信を行いデータを読み込む方式です。
クレジットカードやキャッシュカードなど、より高いセキュリティ性が求められる場面で採用されています。
非接触型ICカードリーダー
カードに搭載されたICのアンテナコイルで、カードリーダーと無線通信を行いデータを読み込む方式です。社員証や交通系ICカードをはじめ、マイナンバーカードなどカードリーダーにかざすだけで簡単に照合できるため、認証カードの主流となっています。
また、非接触型ICカードには通信方式の違う下記3種類のカードがあり、それぞれに対応したICカードリーダーがあります。
Type-A
フィリップ社が開発した規格。タバコ購入時に利用するtaspoカードで利用されています。
Type-B
モトローラ社が開発した規格。マイナンバーカードやキャッシュカードで利用されています。
FaliCa
ソニー株式会社が開発した規格。交通系ICカードや電子マネーカードで利用されています。
顔認証の仕組み
顔認証付きカードリーダーとは、文字通り「顔認証機能」と「カードリーダー機能」が一体化した仕組みです。顔認証では、カメラで顔画像を取得し、目・鼻・口の位置や特徴をデータ化して、事前に登録されたデータと照合して認証する生体認証技術が用いられています。
ディープラーニングされたAI技術により、顔の特徴をしっかりと捉えて正確な認証を可能にしており、AI技術が普及する以前と比べて誤検知率が大幅に低下しているのが特徴です。
そんな顔認証の仕組みには「2D認証」と「3D認証」があり、認証方式によって精度が異なります。
「2D認証」は平面の顔画像で認証する方式で、特殊なカメラが不要なため低コストです。しかし、顔写真を使って不正に認証できる点がネックで、一定以上のセキュリティを重視しているシーンは適していません。
「3D認証」は赤外線センサーを利用し、顔を立体的に捉えて認証する方式です。2D認証と違って顔写真などを使った不正認証を防止できるため、セキュリティ性を求める場合には非常に有効な選択肢と言えます。
近年では、AI技術の進歩によって顔認証の精度が大きく向上し、マスク・メガネを着用しても本人の特定が可能な顔認証付きカードリーダーも多く、幅広いシーンで利用できるようになりました。
顔認証付きカードリーダーを導入する5つのメリット
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顔認証付きカードリーダーにはさまざまなメリットがあり、政府の原則義務化も相まって多くのシーンで導入が進められています。
特に、医療機関や薬局では、オンライン資格認証用の顔認証付きカードリーダーを導入することで、「医事業務が簡素化」「人権費の削減」「利便性が向上」するなど多くのメリットを得られるのがポイントです。
また、オフィスの入退室管理システムのリーダーとして顔認証付きカードリーダーを導入すれば、セキュリティを強化できるため、顧客の信頼性が向上するなど大きなメリットが生まれます。
具体的に、オンライン認証のできる顔認証付きカードリーダーを導入するメリットは以下のとおりです。
- 人件費を削減できる
- 利用者の利便性が向上する
- セキュリティを強化できる
- 取引先や顧客の信頼性が向上する
- 他のシステムと連携できる
人件費を削減できる
顔認証付きカードリーダーを利用すれば、オンラインで資格情報を簡単に確認できるため、保険診察を受けられる受診者かどうかを即時に確認できます。
また、従来行っていた保険証の入力作業やレセプト返戻の作業の手間を削減できます。薬剤情報や健診情報の閲覧も可能となるため、医事業務の人件費を大幅に削減することが可能できます。
利用者の利便性が向上する
顔認証付きカードリーダーを利用してオンラインで資格情報を確認すれば、薬剤情報、診療情報、特定検診情報など必要な診療情報を取得・活用できるため、担当医がスムーズに診察を行えるようになります。
薬剤利用や病歴等の共有漏れを減らせるため、医者が的確な判断を下しやすくなり、利用者側も適切なフォローアップを受けやすくなるのがメリットです。
また、受診者が限度額認定証を申請しなくても、限度額認定証の情報が得られるようになります。
セキュリティを強化できる
顔認証付きカードリーダーを活用すれば、「カードリーダー」+「顔認証」の二重認証によって、高いセキュリティレベルを確保できるのがメリットです。通常のゲートはICカードなどで入退室しますが、より重要なエリアに顔認証付きカードリーダーを導入すれば、「カードの盗難・紛失」などで不正入室されるリスクを減らせます。
顔認証付きカードリーダーは、ICカードをかざして認証がOKになると、顔の照合を行う仕組みです。「ICカードを持った本人」以外は入室できないシステムとなっているため、優れたセキュリティを確保できます。
取引先や顧客の信頼性が向上する
個人情報や機密情報を扱う企業の場合、入退室管理システムで入退室のログをとる事が基本になっています。なりすましによる不正アクセス防止として、ICカード認証と顔認証による二重認証で厳重に情報を管理すれば、セキュリティ管理をしっかりしている会社として認識してもらえます。
顔認証付きカードリーダーの導入は、取引先や顧客の信頼性を向上できるため、先方から安心してサービスを利用していただけるようになるのもメリットです。
他のシステムと連携できる
顔認証付きカードリーダーは、「電子カルテ」「レセコン」「入退室管理システム」などさまざまな外部システムと連携できます。たとえば、顔認証付きカードリーダーを利用してオンラインで資格情報を確認すると、オンライン資格情報システムから電子カルテやレセコンに資格情報を自動で取り込むことが可能です。
入退室管理システムなら、従業員の勤怠システムや防犯カメラのシステムと連携できます。入退室のログを勤怠データとして活用したり、入退室時の画像を防犯カメラで録画したりすることも可能です。
外部システムと連携できる顔認証付きカードリーダーは、セキュリティを高めるだけでなく、利便性や業務効率を高める効果も期待できます。
顔認証付きカードリーダーの活用例
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顔認証付きカードリーダーは、近年さまざまなシーンで活用されています。ここでは、顔認証付きカードリーダーの活用例として、医療機関、オフィス、学校や学習塾での活用例についてご紹介します。
医療機関
医療機関はマイナンバーカードの保険証利用が始まったことで、顔認証付きカードリーダーの導入がもっとも進んでいる分野です。従来の保険証には顔写真がないため、簡単になりすましができてしまい、不正利用が多発していました。
そこで、マイナンバーカードと顔認証付きカードリーダーで本人認証を確実に行うことで、なりすましを防止できます。
オンラインによる資格確認も即時にできるようになり、保険証の入力作業やレセプト返戻の作業の手間を削減できるため、医事業務も大幅に効率化されます。
オフィス
オフィスにおけるICカードでの入退室管理システム導入は非常に増えましたが、カードの紛失や盗難などが原因で、他人による不正利用の問題が発生することがあります。また、従業員同士でも、カードの貸し借りにより、重要エリアに不正入室し社内情報を漏洩するリスクについても考える必要がありました。
そこで、セキュリティが重要なオフィスでは、顔認証付きカードリーダーシステムの導入が進められています。機密情報などを保管している重要な部屋については顔認証付きカードリーダーを導入し、ICカード認証と顔認証の二重認証にすることで、なりすましによる不正アクセスを確実に防止できます。
学校や学習塾
学校や学習塾、保育園などでも、部外者や不審者の侵入を防ぐためのセキュリティ対策が求められています。近年では、建物の入り口や教室・研究室の扉などにICカードリーダーを設置して入退室管理を行うところが増えてきました。
学生証をICカードにして入退室管理システムを導入し、建物や教室に入る際にカードをかざして入室する方式にすることで、部外者や不審者の侵入を防げます。また、大学では退出側にもリーダーを設置することで、入退室のログを利用して効率的に出席確認を行えるのもメリットです。
近年では、サーバー室や薬品庫、研究室など重要な部屋には顔認証付きカードリーダーを設置して、ICカード認証と顔認証の二重認証をする大学も増加傾向にあります。特に、セキュリティレベルを上げたい空間において、顔認証付きカードリーダーは心強い味方と言えます。
顔認証付きカードリーダーを導入してセキュリティと業務効率を向上させよう!
オフィスや学校など重要な部屋のセキュリティを強化したい場合は、顔認証付きカードリーダーを導入した二重認証がおすすめです。しかし、顔認証付きカードリーダーは導入コストが高い、とイメージされているかもしれません。
セキュリティと業務効率を向上させられるとはいえ、予算がオーバーになってしまい導入しあぐねている方もいるでしょう。
そのような方におすすめなのが、株式会社アートの「顔認証端末F-5830」です。高機能な顔認証とICカード認証両方の機能を搭載したリーダーでありながら、低コストでご導入いただけます。
顔認証速度は0.2秒以内、顔認証精度99%以上の顔認証機能を搭載した非接触ICカードリーダーです。電気錠制御盤に接続して運用するタイプですので、システム全体としてもテンキーシステムと同価格程度で導入することができます。
自社のセキュリティを強化して従業員が安心して働ける環境を整備するために、顔認証付きカードリーダーのF-5830を導入して、セキュリティと業務効率の向上を目指してみてはいかがでしょうか。
Q&A
Q:顔認証付きカードリーダーを導入するメリットは何ですか?
A:人件費の削減を図れます。特に医療機関ではオンライン資格認証を利用できるため、受診者や担当医の利便性を向上させることができます。また、入退室管理システムでは二重認証でセキュリティを強化できます。
Q:顔認証付きカードリーダーはどのような場所で使われていますか?
A:オンライン資格認証用としては、病院、医療診療所、歯科診療所、薬局などに導入されています。入退室管理システム用としてはオフィスや病院、大学などの重要な部屋の入退室リーダーとして使われています。