カメラの顔認証の仕組みとは?システム選びのポイントも解説
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顔認証システム
- 2024.10.16
CONTENTS この記事でわかること
カメラによる顔認証システムは、AI技術進化により認証精度が格段に向上しています。そのため、近年ではオフィスのセキュリティをはじめ医療機関・空港・商業施設など、さまざまなシーンで利用されるようになりました。
さらには、スマートフォンのセキュリティ対策として、iPhoneのロック解除認証で顔認証が本格採用されています。もはや、カメラを使った顔認証システムはみなさんにも身近な仕組みのひとつです。
そこで、本記事ではカメラの認証システムの仕組みや、活用シーン、メリットを徹底解説します。顔認証システムを選ぶ際のポイントについても解説しますので、セキュリティ強化のためにカメラの認証システムを検討している方や興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
カメラの顔認証システムとは
カメラの顔認証システムとは、カメラで撮影した画像から検出した顔データをもとに、目、鼻、口などの特徴点をデータ化し、事前に登録されたデータと照合して認証する生体認証技術のひとつです。
生体認証とは身体に関連する要素を用いて認証を行う技術で、「顔認証」の他に、「指紋認証」「静脈認証」「虹彩認証」「声紋認証」などがあります。
顔認証はセキュリティ対策のひとつとして急速に普及しており、身近なところではスマートフォンのロック解除として、2017年11月に初めてiPhoneに採用されました。
また、経済産業省では、クレジットカード決済時に生体認証などによる本人認証を2025年4月までに義務化する背景もあり、生体認証や顔認証の利用がさらに広がると予測されています。
出典元:経済産業省「クレジットカード決済システムの更なるセキュリティ対策強化に向けた主な取組のポイント(案)」
顔認証システムの仕組み
顔認証システムの仕組みは、あらかじめ利用者の顔画像データを登録・保存し、認証時の顔データから保存データを照合して本人認証を行う仕組みです。
利用者の顔画像データの登録は、カメラで撮影した画像から個人の顔を読み取り、目・鼻・口などのパーツの特徴や位置・大きさを分析しデータ化したものをサーバーに保存します。
認証の際に顔認証のカメラで顔を検出すると、アルゴリズムでデータを分析し、登録されたデータと照合して非常に高い精度で本人確認を行います。
「顔認識」と「顔認証」の違い
「顔認識」とは、撮影した画像から人の顔を認識し識別する機能です。識別とは、その顔の特徴を分析して性別やおよその年齢、表情などを識別するシステムです。その際に「誰の顔か」までは特定しません。
「顔認証」とは、撮影した画像から検出した顔のデータと、事前に登録した顔のデータを照合して、特定の個人や本人を確認するシステムです。
「顔認識」の利用例としては、店舗などで来店者の年齢や性別データを統計化するなど、マーケティングの用途として利用されています。「顔認証」は顔の識別だけではなく、カメラで個人を特定し本人認証まで行うシステムとなり、「顔認識」よりさらに高度なシステムです。
カメラによる顔認証の活用シーン
カメラによる顔認証はさまざまなシーンで活用されています。
- 従業員や来客の入退室管理
- 医療・介護施設での事故防止
- 商業施設でのセキュリティ対策
- コンサートチケットの転売防止
ここでは、カメラによる顔認証の活用シーンについてご紹介します。
従業員や来客の入退室管理
カメラによる顔認証システムは、従業員や来客の入退室管理に活用されています。オフィスのセキュリティ対策として、社員証(非接触カード)を使った入退室管理は主流ですが、近年ではカメラの顔認証を導入して、従業員の顔を社員証として活用する事例が増加傾向にあります。
カメラによる顔認証で従業員や来客の入退室管理を行えば、物理的なカードを使わずに済むため、紛失や盗難のリスクを減らせるのがポイントです。さらに、受付や警備員がいなくても、不審者の侵入防止や入室エリアの制限が確実に実施できます。
また、勤怠管理システムと連動することも可能です。
医療・介護施設での事故防止
医療・介護施設でも、カメラを使った顔認証が活用されています。具体的には、入院患者や施設入居者の予期せぬ外出をカメラの顔認証で検知し、担当者がいち早く気づくことで事故を未然に防ぎます。
見守りが必要な入院患者や施設入居者が施設から外へ出ようとすると、出入り口に設置されているカメラが自動的に顔認証を行い、担当者へ連絡が入る仕組みです。行方不明や交通事故を予防し、入院患者や施設入居者の安全を確保できるのがポイントです。
特に介護施設での離設事故は大きな問題となっています。カメラの顔認証による見守りシステムは、施設入居者の安全性を確保するほか、介護スタッフの負担も軽減できます。
商業施設でのセキュリティ対策
万引きやカスタマーハラスメントなど、要注意人物の来店を検知し、監視を強化する仕組みづくりにもカメラの顔認証が役立っています。登録済みの要注意人物が来店するとカメラの顔認証で人物を特定してアラームを通知する仕組みです。
アラームによって、従業員や警備員が要注意人物を集中的に監視できるようになります。要注意人物をいち早くトラッキングして対策を立てられるため、犯罪行為や迷惑行為を未然に防ぎやすいのがポイントです。
また、不正行為やトラブルを事前防止できるため、警備のコスト削減や従業員の安全確保にも貢献できます。
コンサートチケットの転売防止
近年、コンサートチケットを買い占めて不当に価格を釣り上げて転売する行為が問題になっています。2019年6月から「チケット不正転売禁止法」が施行され、チケットの高額転売等が禁止されました。
そこで、運営側の転売行為の対策として、「チケット購入時に登録した顔画像」と「公演当日に入場する歳に撮影した顔画像」を照合して本人認証を行う、顔認証入場システム付きカメラが導入されています。
顔認証入場システムは身分証を目視で確認するよりもスムーズに入場できるため、コンサート以外に商業施設や展示会など多くの人が集まるイベントでも活用されるようになってきました。
顔認証システムのメリット
顔認証システムのメリットとして、主に次の4つがあります。
- セキュリティを強化できる
- 非接触なので衛生的
- 忘れたり、失くしたりしない
- 他のシステムと連携できる
ここでは、カメラを使った顔認証システムのメリットについてご紹介します。
セキュリティを強化できる
定点・固定カメラなどを使った顔認証システムは、鍵やICカードのように盗難・偽造されにくいため、なりすましが困難です。社員同士のカードの貸し借りが無くなり、「いつ・誰が出入りしたのか」などの記録を正確に残しやすくなります。
トラブルが起きた場合でも、システムの入退室履歴からトラブル発生時刻の入室者を確実に特定できるため、短時間での原因究明にもつながります。これにより、内部不正の抑止力にもなります。
非接触なので衛生的
カメラを通して顔を映すだけの顔認証システムは、非接触により衛生的なのもメリットです。顔認証はカメラの前に立つだけで認証を行えるため、感染症予防の観点からも優れています。
また、顔をカメラに合わせて認証するだけなので、荷物で手がふさがった状態でも、そのまま通過できるのがポイントです。荷物の持ち直しや、床に置くといった手間もかかりません。
顔認証システムのカメラによっては、複数人同時に認証できる精度の高い製品も登場しているため、商業施設などの通行量が多い場所でも安心です。極力接触を避けながら、要注意人物なども特定しやすくなります。
忘れたり、失くしたりしない
カメラを使った顔認証では、本人の顔そのものが認証キーです。そのため、暗証番号を忘れたり、ICカードを紛失したりして入退室ができなくなる心配はありません。
暗証番号の定期的な変更や、ICカード紛失時の再発行及び登録なども不要なため、システム管理者の業務負担を大幅に軽減できます。そのため、各利用者・担当者の運用負担を抑えて、効率的な入退室管理を行えるのがメリットです。
他のシステムと連携できる
カメラの顔認証を利用した入退室管理システムでは、勤怠管理システムや監視カメラシステムと連携できる製品も多くなっています。勤怠管理と連動すれば、1日の入退室履歴から最初の入室を出勤、最後の退室を退勤として自動的に記録できます。
製品によっては、そのまま給与計算なども半自動化できるため、カメラを使った顔認証ひとつで勤怠管理・給与計算を効率化することが可能です。
ホテルやデパートなどの接客業では、訪れるVIP顧客をカメラの顔認証で特定し、専任スタッフがワンランク上の特別なおもてなしを提供するなど、顧客満足度を高めるサービスを行っています。
顔認証システムを選ぶ際のポイント
カメラを使った顔認証システムは、すべてが同じ性能とは限りません。自社の状況やニーズにあわせて、以下のポイントを踏まえた選び方を心がける必要があります。
- 認証の精度やスピードが十分か
- 既存の設備や他のシステムと連携できるか
- サポート体制が充実しているか
ここでは、顔認証システムを選ぶ際のポイントについてご紹介します。
認証の精度やスピードが十分か
カメラを使った顔認証の精度・認証スピードは、システムを比較検討するうえでもっとも重要です。「認証装置の前で数秒間待たないと照合しない顔認証」「照合エラーが多い顔認証」では、混雑時に行列となってしまいます。
そのため、顔認証システムを選ぶときは、カメラの「認証スピード(認証速度)が0.5秒以下」「顔認証精度は95%以上」の製品を選ぶことが大切です。
また、マスクやメガネを着用してもカメラで顔認証ができる、髪型の変化や顔の経年変化しても顔認証ができることも、システムを長く利用するうえで重要です。
既存の設備や他のシステムと連携できるか
カメラを使った顔認証・入退室管理システムを導入するときは、勤怠管理などの他システムと連携できるかどうかも大切です。顔認証を使った入退室管理システムでは、社員が事務所へ入退室した履歴をすべて保存しています。
履歴データには出退勤した時間も含まれており、勤怠管理と連携できると非常に効率的です。
また、建物の出入り口には監視カメラが設置されているオフィスビルが多くなっています。入退室管理システムと監視カメラと連携すれば、顔認証で認証した際のカメラ映像を後から閲覧できるため、怪しい動きがあった際の入退室者を追うことが可能です。
その結果、オフィスのセキュリティ性を高められるだけでなく、カメラを使った顔認証システムがあるだけで内部の犯行を抑制する効果も期待できます。
また、入退室管理と勤怠管理、入退室管理と監視カメラを連携すれば、認証するリーダーやカメラを共用で利用できるケースもあります。導入コストを下げたい場合には確認が必要です。
サポート体制が充実しているか
顔認証システムでカメラなど機器の故障やトラブルが起きると、建物に出入りできなくなり業務に大きな支障が出てしまいます。そのため、トラブル発生時のサポート体制は非常に重要なポイントです。
トラブル発生時に社内相談窓口があるのはもちろんのこと、導入した顔認証システムのメーカーサポートが充実しているシステムを選ぶ必要があります。顔認証システムはセキュリティに関連するシステムでもあり、迅速な対応が求められます。
カメラによる顔認証でセキュリティを強化しよう!
カメラの顔認証システムとは、カメラで撮影した顔画像の特徴点をデータ化し、事前に登録されたデータと照合して認証する生体認証技術のひとつです。iPhoneに顔認証が採用されてからカメラを使った顔認証は身近なものとなりました。
そのうえ、経済産業省が「クレジットカード決済時の生体認証による本人認証を2025年に義務化」を掲げている背景もあり、今後もますますカメラを使った顔認証の利用が広がると予測されます。
近年では、非接触カードを使った入退室管理システムから、セキュリティ・利便性に優れた顔認証に入退室管理を切り替える企業も増加傾向にあります。カメラを使った顔認証システムは認証精度やスピードが向上したことで、もはや実用的なセキュリティ対策として主流な選択肢のひとつです。
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Q&A
Q:「顔認識」と「顔認証」の違いはなんですか?
A:「顔認識」は顔画像から特徴を分析して性別や年齢、表情を識別し統計などに利用します。それに対し「顔認証」は撮影した顔画像と事前に登録した顔画像を照合して本人確認を行い入退室管理システムなどに利用します。
Q:顔認証システムを選ぶ際のポイントはありますか?
A:認証の精度やスピードが運用環境において十分満足できるものであること、トラブル発生時の対応としてサポート体制が充実していることなどがポイントとなります。また、既存の設備や他のシステムと連携できることも考慮する必要があります。