シリンダー
シリンダーとは
シリンダーとは玄関の鍵穴部分のことです。本体部分が円筒の形になっており、英語で「円柱・円筒」を意味する「cylinder」が由来です。円筒になっている内部には、鍵が回らないようロックする「タンブラー」と呼ばれる突起物があります。このタンブラーの形状や配置とぴったり合う鍵を差し込むと、シリンダーが回転して解錠する仕組みです。
錠前が台座を含む鍵全体を意味するのに対して、シリンダーは鍵穴のみの部分を指します。鍵を差し込んで回して開けるシリンダー錠とセットになってるのが、ドアの内側のつまみを回して施錠するサムターン錠です。
主なシリンダーの種類
シリンダーにはさまざまな種類があります。
ピンシリンダー
ピンシリンダーはギザギザの形状の鍵です。シリンダーの中にピン状のタンブラーが入っており、このピンが鍵の溝部分とかみあうとカギが回るようになる仕組みです。シンプルな構造のため修理・合鍵の作成コストを抑えられる反面、ピッキングや鍵の複製を許しやすいデメリットがあります。
ディスクシリンダー
ディスクシリンダーはピンシリンダーと似た仕組みで、タンブラーが板状である点が特徴です。ディスクシリンダーはピンシリンダーと異なりタンブラーが内筒側に設置され、バネの力で外筒へ飛び出す形になっているのが一般的です。正規の鍵が刺さると、ディスクが内側へ引っ込んで障害が解除されます。
耐久性に優れており、かつては圧倒的なシェアを誇っていましたが、ピッキングに非常に弱く防犯性に乏しいため多くのメーカーで廃盤となっています。
ロータリーディスクシリンダー
ロータリーディスクシリンダーは、ディスクシリンダーを改良したシリンダー錠です。異なる鍵やピックを指した際に、ロッキングバーと呼ばれる制御棒でタンブラーがロックされるのが改良点です。正規の鍵を差し込むとタンブラーが回転して解錠されることから、ロータリーディスクシリンダーと名付けられました。
マグネットタンブラーシリンダー
マグネットタンブラーシリンダーは、磁石のS極とN極の反発と引き合いの性質を利用したシリンダー錠です。鍵を差し込むと、鍵とタンブラーの内部にあるマグネットが反発し合ってタンブラーについたバネが外筒側に引っ込み、シリンダーを回せるようになります。鍵とタンブラーが物理的な接触を必要としないため、従来のピッキング手法では解錠できません。
ディンプルシリンダー
ディンプルシリンダーは、ピンの配列を複雑化したピンシリンダーです。従来のピンシリンダーはシリンダーの上下にしかピンが備えられていなかったのですが、ディンプルシリンダーは左右や斜めなどにもピンが仕掛けられています。ピッキングなどによる不正解錠は極めて困難で、防犯性が高いのが特徴です。
補足
シリンダーの防犯性を高める主な対策として、以下の方法があります。
- ワンドアツーロック
- 防犯用サムターン
- 電子錠と併用
ワンドアツーロックとは、一つのドアに二つの錠を設置する方法です。シリンダーの数が増えると解錠にかかる手間や時間も長くなるため、空き巣が侵入をためらいやすくなるでしょう。
防犯用サムターンは、ドアに穴を開けて内側に器具を挿し込み、直接サムターンを回転させて解錠する「サムターン回し」を防ぐのが目的です。サムターンが空転して解錠できない空転モードに切り替えられるものや、ツマミについているスイッチを押しながら回さないと解錠できないものなど、さまざまな種類があります。
電子錠とは、電気の力を使って鍵を開け閉めする錠前です。シリンダーと組み合わせて使うと、飛躍的に防犯性が向上するでしょう。
シリンダーに関連する用語一覧
サムターン
防犯
セキュリティ
電気錠
電磁錠
電子錠
スマートロック