声紋認証
声紋認証とは
声紋認証は生体認証(バイオメトリクス認証)の一つで、声の特徴で認証を行う方法です。声は指紋と同様に、声の高さ・周波数などさまざまな特徴で構成されています。人間の口・喉・鼻などの発声器官は楽器のようなもので、形状・動きの違いで特徴が異なるためです。声紋は、声の特徴をスペクトログラムという形によって捉えられます。
声紋認証のメリットとしては、導入・利用のしやすさが挙げられます。スマートフォンやタブレットなどに使われている、汎用性の高いマイクでも利用可能です。また、発話内容や言語に依存せず話者を特定でき、電話口での認証もできます。
認証方式としては「テキスト依存方式」「テキスト独立方式」などが挙げられます。テキスト依存方式は、事前に特定のフレーズを発話した音声データを記録し、認証に使用する方法です。短時間の音声で照合が可能で、ユーザーごとにフレーズの変更もできます。テキスト独立方式は、自然な発話データを登録して認証に使用する方法です。認証精度が高い方法で、雑音が多い場所・通信環境が悪い環境でも精度は落ちません。
声紋認証の導入事例
声紋認証は、次のような場面で導入されています。
マンション
マンションのエントランスに導入したセキュリティシステムに、声紋認証の技術が用いられています。
生体認証は体の特徴が鍵となるため、紛失の危険性がありません。また、声紋認証は機器に直接触れる必要がない非接触型でもあり、両手で荷物を持っていても利用しやすい点もメリットです。指紋認証など接触型の認証方式の場合、一度荷物を降ろして機器に触れる必要があります。普通の鍵で解錠するのと同じ手間がかかってしまい、利便性が下がってしまいます。非接触型の声紋認証は、エントランス向きの認証方法といえるでしょう。
コミュニケーションロボット
声紋認証の技術は、コミュニケーションロボットにも採用されています。
ユーザーとのやりとりを通して会話を学習するものや、音声による指示を可能にするものなど、種類が豊富です。インターネットに接続するサーバー型音声認識システムのほか、接続不要のローカル型音声認識システムも開発されており、高い精度での使用が可能です。近年では、人工知能を搭載したロボットも開発されています。
補足
生体認証は偽造やなりすましが難しいといわれますが、不可能なわけではありません。一般的に、声紋認証システムにはなりすましを防ぐ手段が用意されています。しかし、海外ではそうした対策を調査し、突破するプログラムが作成された例もあります。
反対に、肉声か否かを判別できる機能をもったシステムも開発されており、合成・作成された音声の検知も可能です。録音された音声も検知するため、なりすまし・偽造を高い精度で防げるでしょう。
しかし、より高い安全性を求める場合、声紋認証のみに頼るのは危険です。複数の認証方式を搭載するマルチ認証方式の導入を検討しましょう。複数の認証方式を用いれば突破が難しくなり、セキュリティ性の向上が期待できます。
声紋認証に関する用語一覧
生体認証
指紋認証
顔認証
静脈認証
虹彩認証
声紋認証
耳介認証
DNA認証
行動認証
マルチ認証